まとめ
- 決定的に重要な課題・領域を見極め、そこにリソースと行動を集中する
- 競合の強み・弱みを理解し、自社の強みをぶつけて持続的な競争優位をつくる
- 変化の兆候を早期に捉え、他者より先に行動する
抜粋
こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントを見極め、そこに狙いを絞り、手持ちのリソースと行動を集中すること
直面する状況の中から死活的に重要な要素を見つける。そして、企業であればそこに経営資源、すなわち人、物、金、そして行動を集中させる方法を考えることである。
良い戦略は、目標やビジョンの実現以上のことを促す。良い戦略は、直面する難局から目を逸らさず、それを乗り越えるためのアプローチを提示する。
状況が困難であるほど、行動の調和と集中を図り、問題解決や競争優位へと導くのが良い戦略である。
良い戦略には、取るべき行動の指針が既に含まれている。細かい実行手順が示されているわけではないが、やるべきことが明確になっている。
戦略とは、組織が前に進むにはどうしたらよいかを示すものである。戦略を立てるには、組織にとってよいこと、好ましいことをどうやって実現するかを考えることである。
いい戦略には論理構造がある。これをカーネルと呼ぶ。
カーネルは、診断、基本方針、行動の3つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし、それにどう対処するかを基本方針として示す。
1章
戦略の基本は、最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけることである。別の言い方をするなら、最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである。
良い戦略におのずと備わっている卓越した価値の第一は、新たな強みを生み出すことである。
良い戦略に必要なのは、様々な要求にNoといえるリーダーである。戦略を立てる時には、何をするかと同じくらい、何をしないかが重要なのである。
2章
相手がこちらより弱いところに、こちらの強いところをぶつけるのが戦略の定石とされる。
相手が持っていないもの、気づいていないものをどうやって見抜くか、そしてこちらの強みをどこに言い出し、どう活用するか。その強みは私たちの視界の外れの方に存在し、かすかにきらめくだけで、よほど注意を集中しないと見えてこない。
戦略を考えるときは、常に競争を考慮しなければならないことを学ぶのである。
自社の強みと弱みを見極め、状況のチャンスとリスク、あるいは敵の弱みと強みを評価し、自社の強みを最大限に生かす。
3章
悪い戦略の4つの特徴は、空疎であること、重大な問題に取り組まないこと、目標を戦略と取り違えていること、間違った戦略目標を掲げていること。
悪い戦略とは、戦略が何も立てられていないという意味ではなく、また失敗した戦略を意味するのでもない。悪い戦略では、目標が多すぎる一方で、行動に結びつく方針が少なすぎるか全くないのである。
悪い戦略の特徴は、わかりきったことを必要以上に複雑に見せかける、中身のないことを厚化粧で覆い隠しているのである。
重大な問題を無視し、分析をしようともしなかったら、戦略を立てることなどできない。重大な問題と無関係の目標や予算は戦略とは呼べない。
頑張ることは人生において大事ではあるが、最後の一踏ん張りをひたすら要求するだけのリーダーは能がない。リーダーの仕事は、効果的に頑張れるような状況を作り出すことであり、努力する価値のある戦略を立てることである。
リーダーになるということは、誰かが自分の目標を決めてくれるポジションから、組織の目標を自分で決めるポジションに移ることを意味する。
良い戦略は、一つか二つの決定的な目標にエネルギーとリソースを集中投下し、それを達成することによって、次々と新しい展開へとつなげていく。これに対して、悪い戦略では、いろいろなことを詰め込みすぎて、ごった煮状態の目標が掲げられていることが多い。
4章
選ぶという困難な作業を避け、どの意見も捨てず、誰の体面も傷つけないようにしていたら、良い戦略は生まれない。
的を絞り込んだ戦略では、明確な目標にリソースを集中させる。そのためには、戦略目標以外からリソースを引き上げて、戦略目標に回さなければならない。これは選択と集中の必然的な結果である。
戦略策定の第一歩は、持続的な競争優位となる何かを見つけ出すこと。言い換えれば、どうすれば勝てるかを見極めることだ。
成功すると考えたら成功する。逆に失敗すると考えたら、失敗することになる。成功するためには、失敗という観念を完全に排除しなければならない。成功するためには、幸福のことだけを考えていなければならない。そうすれば、前向きになり、不安や憂鬱は消し去られる。
5章
戦略を立てるときは、診断、基本方針、行動からなる。
診断について、戦略を立てる作業の多くは、何が起きているのかを洗い出すことにある。
事実を客観的に観察して問題点を把握しておかないと、現実的な戦略を立てることはできない。
いい基本方針は、難局に立ち向かう方法を固め、他の選択肢を排除するのが基本方針である。
よい戦略とは、何をやるかを示すだけではなく、なぜやるのか、どうやるのかを示すものであるべきだ。
重要なのは、既往方針を定めることによって、無数にあった手段の中から方針に沿った行動を選び、一貫性をもって取り組めるようになることである。
行動の必要性こそが、戦略をより的確に、より明確にするのである。
戦略が単なる願望にとどまっている限りにおいて、組織内の価値観の対立は容認される。
だが、行動しなければならない時には、苦渋の選択をしなければならない。
そして、戦略で最も重要なのはそこである。
戦略の極意は、本当に重要な問題を見極め、そこにリソースや行動を集中することにある。何かに集中すれば、それ以外を捨てることになるからだ。
戦略は、結局のところ、コーディネートされた行動があるシステムに強制されるという形で具現化するのである。
6章
最も効き目のあるところに力を集中することが、戦略的テコ入れの要諦である。
顧客の反応よりさらに重要なのは、競争相手や敵の反応を予測することである。
ニーズは高まっているのに、それに応える製品やサービスが提供されていないとすれば、それは一つの不均衡である。
集中が大きな見返りをもたらすもう一つの理由は、閾値効果が現れるからである。
閾値効果とは、あるレベルを超えるまではほとんど変化が現れないが、そのレベルを超えれば一気に大きな変化が現れることを指す。
このようなケースでは、ターゲットを慎重に選び、手持ちのエネルギーやリソースを集中することが望ましい。
7章
リーダーが戦略実行に使える強力な手段の一つは、近い目標を定めることである。近い目標とは、手の届く距離にあって十分に実現可能な目標を意味する。
高い目標であってよいが、達成不可能ではいけない。
最後の責任は自分が取るというだけではなく、近い目標を設定してチームが動けるようにすることがリーダーの大切な使命である。
自分のコマの動く選択肢を増やして、相手のコマの動く範囲を狭めるという目的がある。
あることだけに集中する。すなわち、最重要課題に優先的に取り組むためには、他の重要なことがクリアできていなければならない。
近い目標とは、はしごを上るようなものと考えることができる。最初の段にしっかり足をかけなければ、次の段に上がることはできない。
8章
どこかに弱い環がある場合、いくら他の環を強化しても鎖全体は強くはならない。
どこかに劣るところ、弱いところがあったら、全体がダメになってしまう。
まずはボトルネックを見つける。
そして、短期的な損失は覚悟で、将来に投資する覚悟を決める。
最終目標を掲げつつ、近い目標からクリアしていったことが成功につながったのである。
12章
どんな時、どんなところで優位に立てるのかを理解することが、それを活用する秘訣と言える。
こちらが優位なところでは存分に力を発揮し、そうでないところは巧みに回避する。
さらに、ライバルの弱みを突き、こちらの弱みは握られないよう注意する。
競争相手より低いコストで生産できるとき、競争相手より高い価値を提供できるとき、あるいはその両方ができるとき、競争優位があるという。
競争相手に容易に真似されないこと、模範困難性が条件になる。より正確に言えば、優位性を生み出すリソースを真似されないことが重要だ。
価値を高めるために重要なのは、コモディティ化しないようにすることだ。
ビジネスの世界では、競争優位の必要性が声高に叫ばれているが、競争優位を持っているだけでは、 高収益に直結するとは期待できない。
つまり、競争優位と富の関係は固定的ではなく、変動する。
希少なリソースを持つ場合には、それに対する需要をうまく高めることこそ、戦略の基本といえよう。
13章
変化のうねりが過ぎてしまうと、その影響は誰の目にもはっきりするが、変化を生かすにせよ、影響を免れるにせよ、その時ではもう遅すぎる。
したがって、変化のうねりが形成される早い段階で、気づいて手を打たなければならない。
大事なのは、予測することではなく、過去と現在に目を凝らすことである。
14章
ライバルの慣性を理解していくことは、自社の強みを理解するのと同じくらい重要である。
旧来の慣行が染みついている人や、変化に抵抗する人には退場してもらわなければならない。
それと並行して、新しい流れに沿って組織を再編することが必要になる。
17章
戦略的になるということは、近視眼的な見方をなくすということである。
逆に言えば、ライバルより広い視野を持つことである。同業者や競争相手が何をしているか、何をしていないか、常に認識していなければならない。
ある分野で戦略を立てるには、その分野について十分な知識を持っていなければならない。
これに関しては、現場の実地経験に勝るものはないと言えよう。
経験を積むと、この状況ではこれがうまくいくとか、この状況ではこういうことが起こりうるといった判断がつくようになる。
寒気がしたら風邪薬を飲むように、多くの人がパターンに従って行動している。
18章
どうしたらいいかわからないとき、他の人のやり方をまねたことは誰にでもあるだろう。
だが、全員がそれをしたら、誰もがまったく根拠のない行動をとることになる。
本当のことは誰かが知っているとみんなが考えているが、実際には誰も知らない。
群れの圧力は、みんなが大丈夫だと言っているのだから絶対大丈夫なのだと考えることを強要する。
内部者の視点は、自分たち、自分の会社、自分の国、自分の時代は特別なのだから、他の時代や他の国の教訓は当てはまらないと考えることを強要する。
こうした圧力は断固はねのければならない。現実を蓄積し、群れの大合唱を否定するデータに目を向ければ、また歴史や他国の教訓から学べば、それは十分に可能である。